会社の登記義務
会社を設立する場合には、登記を行う必要があることは一般的に知られていることかと思います。会社設立時には、設立登記を行い、商号(会社の名称)・事業の目的・所在地などを法務局に申請します。この設立登記を行って初めて、会社・法人は法人格を得ることになります。
そのほか、役員に変更が発生した場合、事業を拡大する場合など、会社運営のさまざまな場面で登記申請が必要になるケースが出てきます。
登記の義務については会社法(第4章 登記)で定められています。登記事項に変更が生じたときは、その日から2週間以内に変更登記をしなければなりません。登記を怠った会社の代表者は最大で100万円の過料を受ける可能性があります。
登記申請が必要なケース
では、どのような時に登記申請が必要になるのでしょうか?
一例ではありますが、以下のようなケースで登記申請が必要となります。
会社を設立するとき
前述した通り、会社を作って新しく事業を始める場合、設立登記が必要になります。
役員に変更があったとき
役員に何かしらの変更があったときは、役員変更の登記が必要です。役員の就任や辞任はもちろん、役員の氏名や住所が変わった時も登記が必要です。
会社名、事業目的、所在地に変更があったとき
会社の名称変更、事業の拡大による事業目的の追加、本店移転による住所変更などの場合も登記を行う必要があります。
詳しくは法務局のページをご確認ください。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/touki2.html
登記しなかったら必ず過料を受けるのか?
登記すべき期間が会社法によって定められてはいますが、期間を過ぎている場合でも登記申請は可能です。期間が過ぎているという理由だけで申請が却下されることはありません。
ただし、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。この過料に処するかどうかの明確な基準は公表されておらず、裁判所の判断に委ねられています。
期限を1日過ぎて申請したからといって、過料を受けるケースは少ないようです。1年、2年、3年と放置していた期間が長くなるほど、過料を受ける可能性が高くなると考えられています。
役員に変更がなくても変更登記が必要?
株式会社の役員(取締役、監査役など)には任期があり、任期は株式会社の「定款」に定められています。たとえ役員を変更しない場合であっても、任期が満了するたびに株主総会において再任する必要があります。
この場合は役員に変更はありませんが、登記を行う必要があります。これを重任登記といい、この重任登記についても、怠った場合には過料の対象となります。
役員全員が再任で変更はないから登記は不要、と思いこんだまま、変更登記が放置されてしまうケースがよくあります。
12年間登記がなかったら会社が解散させられる?
最後に登記をした日から12年を経過した株式会社は、すでに解散したものとみなされ、法務局の登記官の職権により解散登記がなされます。
この職権による解散登記を防ぐためには、株式会社の本店を管轄する法務局に対し「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。
まとめ
- 登記懈怠(とうきけたい)とは、登記の義務を怠ること
- 登記事項に変更が生じたのに、長期間登記をせずに放置してしまうと過料を受ける可能性がある
- 役員に変更がない場合でも、任期満了の度に重任登記をする必要がある
- 最後の登記から12年を経過した株式会社は法務局により解散登記が行われる
会社の登記というと設立時のことばかりに頭がいきがちですが、実際には様々な場面で変更登記が必要になってきます。
設立登記は司法書士に依頼せずとも、自分で行うことも可能です。自分で設立登記を行われた方の中には、その後の変更登記について何もしていない、そもそも変更登記の必要性を把握していなかった、という方もいるのではないでしょうか。
弊所では初回相談は無料で対応しております。「過料の通知がきてしまった」「うちの会社はきちんと変更登記してたんだっけ?」どんなことでも、ご不安なことがあれば一度弊所までご相談ください。お力になれることがあるかもしれません。