期限の利益とは


例えば、あなたが100万円を借りたとしましょう。

一括で返済するのは難しいので、毎月月末に10万円ずつ10回に分けて返済していくという契約です。

あなたからすれば、借りた100万円を今すぐに返す必要はなく、月末に毎月10万円ずつ返済すれば、残りの金額の返済は今すぐに行わなくてよいということになります。

このように、決められた期限が到来するまでは、債務を履行しなくてよいというあなた(債務者)の利益のことを「期限の利益」といいます。

あなた(債務者)からすれば、返済まで一定期間の猶予があるため、一括では返済が難しいような高額な買い物も、この期限の利益によって支払いが可能となるのですが、お金を貸した債権者側には返済までに猶予を持たせることにメリットはほとんどありません。

※ 実際にはほとんどの場合で、利息や手数料が発生しますので、債権者にまったくメリットがないわけではありません。

このままでは、お金を貸した方(債権者)が、あまりに不利となるケースがあるため、民法で、期限の利益を喪失する場合について規定されているほか、住宅ローンなど金融機関からお金を借りる際の契約書や、クレジットカードの規約などには、ほとんどの場合、期限の利益を喪失する場合の条項が記載されています。

期限の利益の喪失


まず、民法で当然に期限の利益を喪失すると規定されている場合が3つあります。

①破産手続き開始の決定を受けたとき
②担保を滅失させ、損傷させ、または減少させたとき
③担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき

これは債務者に期限の利益を認めていると、債権者の回収が難しくなると思われる場合です。

次に、契約で期限の利益を喪失する代表的な例を挙げます。

A. 期日に返済をしなかったとき

一度でも返済を怠れば期限の利益を喪失するという場合もあれば、数回怠って未払金が一定の金額に達したら期限の利益を喪失するという場合もあります。

B. 契約違反をしたとき

住所や電話番号などの変更があったのに届出をしなかった。契約時に虚偽の申告をしていた。など、契約書で決められている事に違反した場合も期限の利益を喪失するという条項が入っている場合もあります。

C. 再生手続等を行ったとき

再生などの債務整理の手続きを行った場合、期限の利益を喪失する場合もあります。

期限の利益を喪失してしまったら


期限の利益を喪失してしまうと、債権者は債務者へ一括返済を請求することが出来ます。

住宅ローンの場合も同様です。競売を申し立てられたりして、家を手放さないといけない状態になることもあります。

お金の貸し借りの契約をされる際は、どのような契約になっているか、よく確認することが大切です。

まとめ


  • 決められた期限がくるまでは、債務の履行(借金の返済など)をしなくてよいという債務者の利益
  • 期限の利益は、民法や契約内容で喪失する場合について規定されている
  • 返済の滞りなどで、期限の利益を喪失する場合がある
  • 期限の利益を喪失した場合、債権者は債務者へ一括返済を請求することができる


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