定款とは


まず、定款の読み方ですが「ていかん」と読みます。日常的に利用する言葉ではないので聞き慣れない方も多いと思います。

定款は株式会社のルールブックのようなものです。会社法第31条2項で、株式会社は「定款」を本店と支店に備え置かなければらない、と定めらています。会社を運営していくにあたり、法律に反しない限りであれば、定款で自由に決めてよいという定款自治を認めています。

全ての株式会社に「定款」は存在します。

定款に記載する事項には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」があります。

絶対的記載事項


定款に必ず記載しなければいけない項目を、絶対的記載事項といいます。以下の5つの事項は、定款に必ず記載しなければいけません。記載がない場合は定款は無効となってしまいます。

  • 目的(会社の事業目的)
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地(市区町村までで可)
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称及び住所


相対的記載事項


記載がなくても定款は無効になりませんが、定款に記載が無い場合、その効力が無くなってしまうものを相対的記載事項といいます。

相対的記載事項では、「会社で取締役会を設置する」「監査役を置くなどの機関設計」「株式の譲渡制限」などの規定を設けることができます。

任意的記載事項


任意的記載事項は、定款に任意で記載することができる事項です。定款に記載しなくてもその効力が無効になるわけではありません。

事業年度や、取締役などの役員数などを記載することができます。記載してもしなくても良いのですが、定款に記載することで明示的になるため、記載するケースがほとんどです。

定款を整備するメリット


平成18年に会社法が施行され、それまでに比べ会社のルールが大きく変わることになりました。会社法施行前の定款は、変更を行なっていなくても特に問題はありませんが、現在の会社法に則した定款に変更することでコスト削減など得られるメリットも多くあります。

その中で、特にお問い合わせを多く頂く、「機関設計」「取締役・監査役の任期」「株券の発行」の変更点についてご説明します。

機関設計


会社法が施行される前の株式会社では、取締役会と監査役の設置が必須であり、3名以上の取締役と1人以上の監査役が必ず必要でした。

このため、ご家族や親族など、直接は会社に関わりのない方が取締役になっていることも珍しくはありません。直接会社とは関わりがないものの、取締役である以上、取締役会に出席したり、会社に対して善管注意義務を負ってしまいます。

現在の会社法では取締役1名のみの1人会社も認められていますので、取締役会や監査役を設置しない会社への機関設計の変更を行うことも可能です。

取締役・監査役の任期


少人数でのコンパクトな株式会社が認められるようになったことから、株式に譲渡制限がある株式会社では、取締役・監査役の任期を最長10年まで伸長することができるようになりました。

それまでは、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年とされていたので、少なくとも2年に1度は変更がなくても登記を申請する必要がありました。機関設計の見直しとともに、取締役の任期も見直すことで、会社の手間とコストの削減にもつながります。

株券の発行


会社法が施行される前は、株式会社は株券を発行することが原則とされていました。しかし、会社法では、真逆になり、株券を発行しないことが原則、株券を発行することが例外という扱いに変更になりました。

定款に、株券を発行するという規定がある会社でも、実際には株券を発行していないという会社も多くあります。株券を発行していなくても通常は特に問題になることは無いのですが、株を譲渡する場合に、株券を発行する規定のある会社の場合は、「株券の交付」を行わなければ譲渡の効力が発生しません。

つまり、株を譲渡しようとする株主が、会社に対して株券の発行を請求し、発行された株券を譲り受ける人に渡す必要があります。現在、株券を発行していない会社は、これを機に株券を発行しない会社へと変更を検討するのも良いかと思います。

まとめ


会社法設立前に作成した定款は、会社法に則して見直すことでメリットを得られることがあります。当事務所では、会社に関わる登記全般に幅広く対応しております。定款の見直しを検討されている方、そのほか、会社の登記などでお困りのことがあればお気軽にご相談ください。

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